診療内容 - 産婦人科

妊娠・分娩

時代とともにお産を取り巻く環境はめざましく変化してきました。それとともに妊婦さんの選択枝も増加し、自分にあったお産を選べる時代になってきたと言えるでしょう。豪華な部屋に泊まってフランス料理を堪能するお産から、水中出産や果ては台所出産まで・・・今や情報が氾濫し過ぎの感さえあり、ややもすれば本質を見失いがちです。

新しい生命の誕生にかかわる産科診療では、母子共に安全にお産をするということが最も大切であり、その意味では本質は時代の流れと無関係であると考えます。

「お産は自然が一番」・・・これは病院でのお産を批判してよく言われる言葉ですが、われわれもお産は自然が一番と考えています。しかし自然のままでいると非常に危険なお産があることも厳然とした事実であり、しかもどの妊婦さんが危険な経過を辿るかは予想できない場合が多いのです。当院では産科医はもちろんのこと、新生児治療を専門とする小児科医も24時間体制で待機しており、不測の事態に備えています。

われわれのお産に対する基本姿勢は、「自然の経過で順調に進んでいる場合には特別に医療行為を行わないが、自然の経過では危険だと思われる場合には、積極的にこれを治療して良い方向に導いて行く」ということにつきます。会陰切開や帝王切開や陣痛促進剤などは病院での管理分娩の代名詞のように悪くいわれがちですが、われわれの目標は只々「元気なお母さんと元気な赤ちゃん」、それしかありません。必要なときにはみなさんに十分説明し納得していただいた上で適切な医療行為を行います。

母乳指導

8月1日は「世界母乳の日」です。11年前に設定されました。
いつの世代でも「赤ちゃんの育児は母乳で」といわれていましたが、生活様式の変化やさまざまな要因により人工乳での育児が主流となったこともあります。しかしここ数年再び母乳への関心が高まっています。母乳栄養から母乳保育、そして母乳育児といわれています。

当院でも「母と子のために」と母乳外来を設置して早15年が経ちました。母乳育児へのサポートは妊娠中の両親学級から始まります。分娩直後30分以内の初回授乳、助産師・看護師による授乳指導、毎日の乳房マッサージ、乳房トラブルのフォロー、母乳外来での乳房治療、食事指導、相談等にかかわっています。

しかし完全母乳保育が30数パーセントといわれているのが現状です。おっぱいは毎日変わっていきます。お母さんによっても違うものですし、赤ちゃんによっても吸い方はいろいろです。あせらず、ゆっくりおっぱいとつき合って下さい。新しい家族として受け入れた赤ちゃんに素晴らしい母乳育児ができますようにと私たちはサポートしています。

避妊指導

円満な家庭に適切な家族計画は欠かせません。しかし、残念なことに避妊の失敗から止む無く中絶を選択される患者さんが後を絶ちません。多くは避妊を男性まかせにしていたために起こる失敗です。日本でもピルが認可された今、避妊について女性が主導権を握る時代が来たといって良いでしょう。ピル以外にも避妊リングや卵管結紮など女性が行える避妊法はいくつかあります。どの方法にも長所と短所があり、それぞれの患者さんに合った避妊法を選べるよう適時ご相談に応じています。

子宮や
卵巣の疾患

福井愛育病院はお産の病院としてのイメージが強いのは事実ですが、産婦人科ではお産だけでなく子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍などの婦人科疾患全般についても積極的に診断・治療を行っています。医学の進歩とともに治療の選択枝も増え、単に悪いところを手術で切り取るだけでなく、個々人の生活環境にあった適切な治療法を選ぶ時代となってきました。手術についてはより体に負担の少ない方法として、腟式手術などを積極的に行っています。

近年20才代の若年女性に子宮頚癌の前癌状態と言うべき異型上皮が増加しています。若者の間での無防備な性行動は性感染症の増加を生んでいますが、同時にセックスを通して若い女性の子宮頚部に発癌ウィルスの感染が蔓延しています。若い方にも積極的に子宮癌検診を受けるようお勧めしています。

不妊症

夫婦の10組に1組は一生涯不妊といわれています。特に初婚年令の高齢化とともに不妊症は社会的な問題にまでなってきました。

当院は不妊治療専門の施設ではありませんので、検査等を行った上で体外受精などの特殊技術が必要と判断される場合には専門の施設に紹介しておりますが、排卵障害、子宮内膜症、軽度の精子産生障害などが原因で妊娠しにくく、体外受精などの配偶子操作にまで至らずとも妊娠できる可能性が高い場合には排卵誘発、内膜症治療、人工授精など積極的に治療を行っています。

不妊でお悩みの方はお気軽にご相談下さい。

思春期相談

中学~高校生時代に月経不順などで悩む女性は意外に多く、当院ではそんな方々の悩みに積極的に応えられるよう、思春期相談室を設けています。これらの年代の方に内診などの婦人科的診察を行うことはありませんので、お気軽にご相談下さい。

中高年外来

人生80年の時代となり、女性は閉経してからさらに30~40年間生きるのが普通になってきました。閉経後はいわば第二の人生でもあります。当院ではこの第二の人生を積極的にイキイキと生きてもらうために、ホルモン補充療法を中心とした治療で中高年女性を支援しています。近年ホルモン補充療法の副作用等が問題になっております。その点についても詳しく患者さんに説明させていただいた上で、メリットとデメリットを考慮しながら治療を行っています。

毎週金曜日の午後に専門医による中高年外来を開いていますので、お気軽にご相談下さい。