理事長挨拶

すべての命の誕生を大切に慈しむ
理事長 大中 正光(心臓外科医)
1972年12月創設の福井愛育病院はすでに半世紀を経過しました。石原義紀前理事長をはじめとして多くの先達の皆さんが心血を注いだ努力で、福井県における小児地域医療センター、地域周産期母子医療センターとして小児科、産婦人科ともに発展し、今日県下随一の周産期医療機関としての地位を築いてきました。
今時代は、晩婚化・晩産化による深刻な少子化に直面していますが、小児科においては様々な感染症、アレルギー疾患、心臓をはじめとして遺伝子異常に起因する先天性疾患に対する胎内診断、更に発達障害や頭痛・睡眠障害など複雑化した小児医療に対応しています。
周産期においては、高齢出産比率の増加による複雑なハイリスク妊娠を抱え、高度周産期医療を要することから、出生前重点ケアを含め新生児集中治療室(NICU)体制を整えています。 更に、女性は生涯にわたって多様な女性特有のホルモンに関連する月経困難症、子宮筋腫、子宮内膜症、不妊症、更年期障害、骨粗鬆症、など日常生活や社会生活に多大の負担を背負っています。それらの対応は欠かせないものと思われます。
医学の進歩により、今、周産期医療は生殖補助医療(ART)や非侵襲性出生前遺伝学的検査(NIPT)など生命倫理にかかわる微妙な問題に直面しています。私は長年心臓以外にも様々な障害を抱えた多くの乳幼児の心臓手術を経験させていただきましたが、この世に生を受けた命はすべて尊いと思っていました。
今、社会はDEI(多様性、公平性、包摂性)に則り様々な立場に対し普遍性価値を求めています。今後とも患者さんに安心感を抱いていただける様スタッフ一同研鑽を積んでまいります。また、スタッフにとっても誇りをもって働ける医療機関として進化させてまいります。
令和7年6月1日