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MIGRAINE MEDICINES

片頭痛の新しいお薬
(CGRP関連薬)

片頭痛に関わる物質「CGRP(シージーアールピー)」の働きをおさえるお薬が、日本でも使えるようになっています。注射薬3種類と飲み薬2種類について、日本の添付文書(国の承認にもとづくお薬の公式な説明書)の内容に沿ってご紹介します。

ABOUT CGRP

CGRPとは

CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、片頭痛の発作にかかわると考えられている物質です。 片頭痛のある方では発作のときに血液中のCGRPが増えていること、また、CGRPを投与すると片頭痛の発作が起こることが報告されています。

このページのお薬は、CGRPそのもの、またはCGRPが結合する「受け皿(CGRP受容体)」に働いて、CGRPの作用をおさえます。

LINEUP

5つのお薬の一覧

商品名(一般名)種類添付文書の用法・用量(成人)目的
エムガルティガルカネズマブ 注射
CGRPに結合する抗体
初回に240mg(120mgを2本)、以降は1ヵ月間隔で120mgを皮下注射 発作の予防(発症抑制)
アジョビフレマネズマブ 注射
CGRPに結合する抗体
4週間に1回225mg、または12週間に1回675mgを皮下注射 発作の予防(発症抑制)
アイモビーグエレヌマブ 注射
CGRP受容体に結合する抗体
4週間に1回70mgを皮下注射 発作の予防(発症抑制)
ナルティークリメゲパント 飲み薬
CGRP受容体拮抗薬
(口の中で溶ける錠剤)
発作時:1回75mg
予防:75mgを隔日(1日おき)
どちらの場合も1日の合計は75mgまで
2つの目的
発作時の治療(急性期治療)と予防(発症抑制)
アクイプタアトゲパント 飲み薬
CGRP受容体拮抗薬
60mgを1日1回
(腎臓の働きや一緒に飲むお薬によっては10mgまたは30mgに減らします)
発作の予防(発症抑制)

※表は横にスクロールできます(スマートフォン)。どのお薬が合うかは、頭痛の状況や体質、ほかのお薬などをふまえて医師が判断します。

DETAILS

それぞれのお薬

INJECTION注射薬 月に1回など、間隔をあけて皮下注射

注射

EMGALITY

エムガルティ

ガルカネズマブ(遺伝子組換え)

エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター・120mgシリンジ

しくみ
CGRPに結合して、その働きをおさえる抗体です。
使い方
初回は240mg(120mgを2本)、その後は1ヵ月ごとに120mgを皮下注射します。予定の日に注射できなかったときは、できるだけ早く注射し、その日から1ヵ月ごとに続けます。
主な副作用
注射部位の反応(赤み、かゆみ、内出血、腫れなど)14.9%、注射部位の痛み10.1%
注射

AJOVY

アジョビ

フレマネズマブ(遺伝子組換え)

アジョビ皮下注225mgオートインジェクター・225mgシリンジ

しくみ
CGRPに結合して、その働きをおさえる抗体です。
使い方
4週間に1回225mg、または12週間に1回675mgを皮下注射します。途中で間隔を変えるときは、変更前の次回の予定日から新しい間隔で始めます。
主な副作用
注射部位の痛み21.9%、注射部位のしこり(硬結)19.3%、注射部位の赤み17.7%、注射部位の反応(かゆみ、発疹など)
注射

AIMOVIG

アイモビーグ

エレヌマブ(遺伝子組換え)

アイモビーグ皮下注70mgペン

しくみ
CGRPが結合する「受け皿(CGRP受容体)」に結合して、CGRPの働きをさえぎる抗体です。
使い方
4週間に1回70mgを皮下注射します。予定の日に注射できなかったときは、できるだけ早く注射し、その日から4週間ごとに続けます。
主な副作用
便秘、注射部位の反応(赤み、かゆみ、痛み、腫れなど)、眠気(傾眠)(いずれも1%以上)
特に注意すること
重い便秘(腸閉塞などの合併症をともなうもの)が起こることがあり、多くは初回の注射のあとに起きています。便秘が治らない、または悪化するときは受診してください。もともと便秘がちな方や、腸の動きを弱めるお薬を使っている方は特に注意が必要です。

ORAL飲み薬 口から飲むタイプ

飲み薬

NURTEC

ナルティーク

リメゲパント硫酸塩水和物

ナルティークOD錠75mg

しくみ
CGRPが受容体に結合するのをさえぎる飲み薬です。発作が起きたときの治療と、発作の予防の両方に使えます。
使い方
発作時は1回75mg、予防では75mgを1日おきに飲みます。どちらの場合も、1日に飲める量は合計75mgまでです。
飲み方のコツ
口の中で溶ける錠剤(OD錠)です。舌の上か舌の下で唾液にとかし、水なしで飲むことがすすめられています。やわらかく割れやすいので、シートの裏を1錠分完全にはがしてから取り出してください(押し出さない)。湿気に弱いため、飲む直前に乾いた指で取り出し、シートから出したまま保管しないでください。
主な副作用
便秘(1%以上)、吐き気・下痢・ふらつき(浮動性めまい)・肝機能検査値(ALT)の上昇(0.5〜1%未満)
飲み薬

AQUIPTA

アクイプタ

アトゲパント水和物

アクイプタ錠10mg・30mg・60mg

しくみ
CGRPが受容体に結合するのをさえぎる飲み薬で、毎日飲んで発作を予防します。
使い方
60mgを1日1回飲みます。重い腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)の方や、一部の抗真菌薬・抗生物質(イトラコナゾール、クラリスロマイシンなど)を併用する方は10mg、シクロスポリンなど(OATP阻害作用のあるお薬)を併用する方は30mgに減らします。
主な副作用
吐き気、便秘、食欲減退、眠気(傾眠)、体重減少、肝機能検査値(ALT/AST)の上昇(いずれも1%以上)、疲労、かゆみ(0.1〜1%未満)
処方日数
新しいお薬のため、2027年4月末までは1回に処方できるのは14日分までです。

※副作用は添付文書の「その他の副作用」から主なものを抜き出したもので、すべてではありません。%は添付文書に記載された頻度です。
※各お薬のカラーは、製造販売元の患者さん向け公式サイトの配色をもとにしています(各社のロゴではありません)。

FOR WHOM

対象となる方

予防のお薬として使う場合(5剤共通)

  • 医師の診察で、片頭痛の発作が月に複数回以上ある、または慢性片頭痛であることが確認された方
  • 最新のガイドラインなどを参考に、生活の工夫(薬を使わない治療)や発作時のお薬などを適切に行っても、日常生活に支障が出ている方

ナルティークを発作時のお薬として使う場合

  • 国際頭痛学会の診断基準で、「前兆のない片頭痛」または「前兆のある片頭痛」と確定診断された方のみが対象です
  • これまで片頭痛と診断されたことがない方や、いつもの片頭痛と違う頭痛の方は、問診・診察・検査で頭痛の原因を確かめてから使います
5剤とも、添付文書の用法・用量は成人を対象としており、小児等を対象とした(有効性・安全性を確かめる)臨床試験は行われていません。中学生・高校生の方の治療については、担当医にご相談ください。
注射薬3剤(エムガルティ・アジョビ・アイモビーグ)は、国の「最適使用推進ガイドライン」の対象となっているお薬で、ガイドラインに沿って使用します。
POINTS

使うときに大切なこと

  • 予防のお薬は、起きてしまった発作を止める薬ではありません。エムガルティ・アジョビ・アイモビーグ・アクイプタを使っている間に発作が起きたときは、別に処方された発作時のお薬を使います。
  • 効果はおよそ3ヵ月で判定します。予防として使う場合、開始からおよそ3ヵ月(アジョビを12週間に1回で使う場合は6ヵ月)を目安に効果を確認し、改善がなければ中止を検討します。その後も定期的に続ける必要があるかを確認し、頭痛が減って日常生活に支障がなくなれば、中止を検討します。
  • 自宅での自己注射に切り替えられる場合があります。注射薬は、はじめは医療機関で医師が注射します(または医師の直接の監督のもとで行います)。十分に練習し、確実に注射できることを確認したうえで、医師の判断で自己注射に切り替えられることがあります。アジョビの自己注射は、オートインジェクターで4週間に1回225mgを注射する場合に限られます。
  • 飲み薬は、一緒に飲むお薬に注意が必要です。ナルティークとアクイプタは主に体内の酵素(CYP3A)で代謝されるため、一部の抗生物質や抗真菌薬などと影響し合います。ナルティークは、サプリメントなどに含まれるセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)とも影響し合います。飲んでいるお薬やサプリメントは、必ずお知らせください。
  • 腎臓・肝臓の病気がある方はお知らせください。ナルティークは末期腎不全や重い肝機能障害のある方には使用を避けることが望ましいとされ、アクイプタは重い腎機能障害のある方は10mgに減らし、重い肝機能障害のある方には使用しないことが望ましいとされています。
  • 妊娠・授乳について。5剤とも、妊娠中または妊娠の可能性がある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用します。授乳中の方は、治療の必要性と母乳の利点を考えて、授乳を続けるかどうかを検討します。妊娠を考えている方・妊娠中・授乳中の方は必ずお伝えください。当院は産婦人科がある病院なので、必要に応じて産婦人科医と連携します。
SAFETY

すぐに連絡してほしい症状

5剤とも、まれにアナフィラキシーなどの重い過敏症(息苦しさ、じんましん、顔や唇の腫れ、発疹など)が起こることがあります(頻度不明)。お薬によっては、使ってから数日たって起こることもあると添付文書に記載されています。
アイモビーグでは、治らない・悪化していく便秘にも注意してください。
このような症状があるときは、すぐに当院(0776-54-5757)へご連絡ください。症状が重いときは救急車を呼んでください。
REFERENCES

出典(各お薬の添付文書)

  • エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター/120mgシリンジ 添付文書(2022年5月改訂 第4版)
  • アジョビ皮下注225mgオートインジェクター 添付文書(2023年12月改訂 第3版)/225mgシリンジ 添付文書(2023年12月改訂 第2版)
  • アイモビーグ皮下注70mgペン 添付文書(2023年2月改訂 第4版)
  • ナルティークOD錠75mg 添付文書(2025年12月改訂 第2版)
  • アクイプタ錠10mg・30mg・60mg 添付文書(2026年2月作成 第1版)

掲載日:2026年10月10日(2026年10月9日に上記の版で内容を確認しています)。添付文書は改訂されることがあります。最新の情報は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書情報でご確認いただけます。

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このページの内容は、各お薬の添付文書にもとづく一般的な情報です。お薬の使用は、医師の診察のうえで判断します。
監修:福井愛育病院 頭痛・睡眠障害(起床困難、過眠)専門外来